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ショッピングモールの映画館
2008年06月22日 (日) 01:02 | 編集
なぜ人はショッピングモールが大好きなのか

映画館ブログ: 米国でアルコールを提供する映画館が急増という記事で紹介したが、アメリカの映画館よりもおそらく日本の映画館のほうが、商売としては進化している。

それはパコ・アンダーヒル「なぜ人はショッピングモールが大好きなのか」を再読して思ったことでもある。これは2004年の本なので4年前の状況ではあるのだが、現状が先の記事だとすると、アメリカのサービス業は日本ではやはり参考にはならないなと思わせる。

外には看板はあるが

モールじゅうを歩いても映画館の存在を示す広告や掲示は一切見当たらない。

というのは日本ではさすがにない。ただ、存在がわかりづらいのは確かにある。

買い物客を映画館に呼び込む手段は講じられていない。映画館側はわざわざ早朝の上映回の割引券を発行したり、超特大のソーダやポップコーンを提供したりはしない。上映作品の宣伝ポスターはある。だが、それがモール内で上映されている事実は書かれていない。どこかに電光掲示板でも設置し、こんな宣伝文句を流すべきだ。「お買い物中のみなさま、ジャッキー・チェン主演の新作映画は、二時三〇分からの上映にまだお席の余裕がございます」

最後のものは確かにアイディアだろう。ただ日本では、わかりやすい広告が過剰になっている面は逆にありそうだ。日本はモールも街中も、異様にうるさい。視覚にも、聴覚にも。気が狂わないほうがおかしいくらいだが、体内にリミッターがあって調整しているのだろう。つまり広告宣伝が役に立たなくなっている国でもある。

モール内には映画の関連商品が実にたくさん売られているが、それらはさまざまな店に散らばっている−CD店にはDVDやサウンドトラックCD、書店にはシナリオや伝記、玩具店にはライセンスもののアクションフィギュアやアニメのキャラクターのついた弁当箱。こういう商品を一まとめにし、建物内に映画館のあることと結びつけているモールはいまのところない。

映画館のコンセッションでもそういうことはしていないのか?と思うが続く話は、映画館の存在をアピールするために映画館の外に作れということらしい。

映画館の存在を印象づける大がかりな装置を、ぜひフードコートにつくるべきである。承知のとおりそこでは誰もが腰掛けて食べているが、見るものといっては窓すらない。ビデオ・スクリーンを設置し、上映中、あるいは次回上映の作品の予告編を流すのにうってつけではないか。

ふむ。どこか実際にやっているところはないのだろうか? あと、シネコンの問題点として以下をあげる。これは実際私も感じていたところではあるが、どちらかというと、興行側の熱に響くような気がする。昔は混雑した映画館では、働いているほうが興奮していた。シネコンではそういうのはないんじゃないかな、たぶん。

映画館が一度に一作品しか上映しなかった時代には、映画館に近づくにつれて胸がわくわくしたものだ。自分の横を歩いている人びと、外に大行列をつくってじりじりと前進している人びとは、全員が同じ作品を見ようとしていた。娯楽を大勢で一緒に楽しむ感覚があったが、スクリーン数二〇の複合映画館やチャンネル数百以上のデジタル・ケーブルテレビがはやりの当節では、そういう体験はあまりできない。思うに、スポーツの試合やロックのコンサートがあいかわらず人気なのは、そのせいもあるのではないだろうか。大勢が集まって一つのイベントを見守るとき、素晴らしい興奮が観客のあいだに電気のように走る。

まぁでも映画を見始めればおんなじ状況にはなると思うので、もしスポーツやロックと違うならそれはライブ性であり、元もと熱狂度が違ったことが大きいというのが答えな気はする。

その後、映画館に入場しての話が続くのだが、ここは日本と大きく異なる。

ブロードウェーの劇場は、たいていこの待ち時間を利用して上映作品の関連商品を売っている。これは、映画館にもできることだ。前述のとおり、モールには映画ファン向けの小売スペースというものがない。しかし、映画館こそDVDやサウンドトラックCDやTシャツやポスターや本やアクションフィギュアなどなどを売るのにうってつけの場所ではないか。私なら回転式ラックに商品を並べた店を設置する。ロビーが混雑してきたときには壁際に寄せておける。それ以外のときには買い物に最高の場所となる。それというのも、ロビーで待つ時間が実に退屈だからだ。

やっぱりアメリカでは売ってないのね。この本の報告を鵜呑みにするならば。ただ、さまざまな業種の入るショッピングセンターでは、同じアイテムを売ってはいけない、といった状況もありそうだ。ビルインのテナントだったときは、あるアイテムをおろしてもらえなかったことがある。で、顧客サービスとしてその小売から分けてもらったがその卸値が家賃の歩合よりも高いという逆ザヤを起こしていた劇場もあった。

入口ではきわめて現実的な需要が満たされていない。スクリーン数は一四で、おそらく上映作品数は一〇にのぼり、そのなかで昨日今日に封切られたものはほんのわずかだろう。当然、客である私は自分の見たいものがわかっている。だが、その作品のチケットが売り切れだったら?第二候補を考えてこなかったとき、この映画館は急いで代わりを決める手助けを何一つしてくれない。・・・(略)

ここでのレジ処理は、ウォルマートでのそれと同様、娯楽や映画スターとはなんのつながりもない。目にするものといえば、窓口の上の掲示だけ。かなり小さな文字で映画のタイトルが、さらに小さな文字で上映開始時間と料金が記されている。並んでいると退屈だし、ほかの一三のスクリーンで何が上映されているかわからない。目当ての作品のチケットが売り切れた場合、私は困ったことになる。・・・(略)

あるいは、たとえば映画館に着いたとき見るものをはっきり決めていない場合を考えてみよう。これは、映画館側が考えるよりも頻繁にあることだ。何かを見たいと思っている。ほかの場合よりモールにいるときのほうが、そういうことは多い。いまのところ映画館は、私を座席に誘うようなことを実質的に何もしていない。

ではどうすれば?

ここで役に立つのが予告編である。予告編は映画業界でも一、二を争う天才的な発明だ−われわれの生活にとって欠かせないものであり、作品自体よりも素晴らしい娯楽を提供してくれることもしばしばあるくらいだ。だから、映画館の入口にビデオ・スクリーンをずらりと並べ、列に並ぶ人びとを楽しませればいい。

なるほど。ほかに、シネコンの上映室がすべて同じデザインなことにも異議をとなえている。提案は

私なら一部をファミリーおよびティーン向けに特化するだろう。座席や床を、客のひどい扱いに耐え得るような造りにする。こぼれた飲み物をきれいに洗い流せるよう、ホースで水をかけて洗えるようにしてもいい。売店やトイレまでの距離も考慮する必要がある。アクション映画の上映室は足を投げ出せる空間に余裕を持たせるといい。カップルの多い上映室なら肘掛をしまえるようにしたり、特別料金でカップル用座席を利用できるようにしたりする。

特別料金やカップル云々は既にある。で、映画ジャンルに応じた割り当てはうまくいかないことが多い。とはいえ、若年層相手の映画で床がベタベタ、ということは結構ある。が、一日のあいだでその片付けはなかなか難しい。水洗いったって営業終了後じゃないとできないわけで。まぁそれでも面白いアイディアではある。

映画館ができることはまだまだある、として、アルコール販売などを例に挙げている状況をみると、なんだ、アメリカの興行に日本の会社は乗り出したら成功できたんじゃないの、と思うほどだが、それでもまだ出来ることはありそうだ。

本では一章10ページを割いて論評している。4年前の本だが未読ならちょっとしたアイディアになると思うのでぜひ。→ なぜ人はショッピングモールが大好きなのか

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